自らが長年住宅産業に関わった経験から言えることは、殆ど全ての企業が顧客第一主義を
打ち出しているにもかかわらず、その意識は、内部、つまり企業内価値観を第一とし、顧
客の立場は第二義的にしか考慮されていないというのが現実であった。
つまり、工業化住宅を基本とする生産システムの中で、その内部規定の枠組みでしか、家
づくりの発想は機能しなかったのである。
顧客の人生最大のイベントのひとつである夢の実現にその夢を膨らませることなく、どう
理論的に現実とのギャップを調整するかが設計者の業務の主旨であり、又会社の要望でも
あった。
大企業の効率的機能組織において、そこで従事する社員も役割分担の中で、個々の目標達
成を余儀なくされているのも至しかたない現実であった。
しかしこうした現実の中で、本来の家づくりは「家族の夢の実現」であるという理念を設
定し、その実現のシステム創りに奔走し、早10年の歳月を迎えることになる。
最初が肝心という格言がある。
まず設計である。本来、設計者=建築家はお客様の最初の夢づくりに参加し、何の規制も
無く、その要望を120%実現することが一番面白く、楽しく、感動的な仕事である。つまり、
会社のシステムは二の次に、お客様と一緒に自由奔放にその腕を発揮してもらいたいので
ある。その為には設計者(建築家)は組織内価値観とは一定の距離を置き、自立をするべ
く経済的立場に身を置く必要がある。
ゆえに当社では、設計者は専属ではなく当社のリクエストにより、お客様の要望事項に一
番的確と思われる人材を選択し、対応させることになる。
しかしその仕事量は本人の年間業務量の半分以下と限定し、その他は自立して商業ビル、
オフィス、店舗建設等の外部の仕事に従事して、常に住宅に生かせる能力、センスを磨く
ことを要求している。専属で安定して受注があり内部に依存するのではなく、常に選ばれる緊張感の中で、お客様の夢づくりに真剣に接して欲しいと願うものである。
建築家がプランニングしたものは、構造計算、実施設計、そして総合設計室の三部門でチ ェックされ認証されたものが最終案となる。故にこうした真の自由設計と安全管理システ ムによるコストがお客様の納得と当社の利益の適正なる相互依存価格であると考えている。 私自身が建築士としてこの業を始めた当初の想いは今も変わることなく、「お客様の立場に 良心を持って立ち、プロセス、結果においてオンリーワンの夢づくりを目指そう」という ことである。











